「介護スタッフを募集しても、なかなか応募が集まらない」
「外国人材の採用を考えているけれど、
うちの施設でも特定技能の人材を受け入れられるの?」
このような悩みを抱えている介護事業者の方も多いのではないでしょうか。
人材不足が続く介護業界において、
外国人材、とくに在留資格「特定技能」を活用した採用は、
人材確保の選択肢のひとつになっています。
しかし、特定技能「介護」は、
どの介護施設でも無条件で受け入れられるわけではありません。
施設・事業所の種類、
雇用方法、
給与、
受け入れ人数、
外国人への支援体制など、
受入企業側にも一定の条件があります。
そこで今回は、
「自分たちの施設でも特定技能外国人を採用できるのか?」
を判断できるように、
特定技能「介護」の受け入れ条件を分かりやすく解説します。
※本記事は2026年9月時点の制度をもとに作成しています。
「そもそも特定技能とは何?」という方は、先にこちらの記事をご覧ください。
▶ 第1回|特定技能とは?介護施設が知っておきたい制度の基本
まず確認!
うちの施設は特定技能「介護」を受け入れられる?
詳しい制度を見る前に、
まずは簡単にチェックしてみましょう。
次の項目にどのくらい当てはまるでしょうか。
- ⬜︎ 特定技能「介護」の対象となる施設・事業所である
- ⬜︎ 外国人本人と直接雇用契約を結ぶことができる
- ⬜︎ 日本人職員と同等以上の給与・待遇を設定できる
- ⬜︎ 労働関係法令や社会保険、税金などを適切に守っている
- ⬜︎ 特定技能外国人を受け入れる人数が上限以内である
- ⬜︎ 外国人の生活や就労を支援する体制を用意できる
- ⬜︎ 介護分野の協議会への加入など、必要な手続きを行える
「全部できるか分からない」と感じた方も、この段階で諦める必要はありません。
外国人への支援については登録支援機関へ委託できる仕組みもあります。
まずは、それぞれの条件を順番に確認していきましょう。
特定技能「介護」を
受け入れるための6つの条件
条件①
特定技能「介護」の対象となる施設・事業所であること
最初に確認したいのが、
「外国人材に介護業務を行ってもらう事業所が、制度上の対象になっているか」
という点です。
介護分野の特定技能外国人を受け入れる事業所は、
厚生労働省が定める対象施設に該当する必要があります。
代表的なものには、
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 有料老人ホーム
- 通所介護事業所
などがあります。
自施設が対象になるか分からない場合は、施設名だけで判断せず、
厚生労働省が公表している最新の対象施設一覧を確認することが大切です。
「訪問介護は対象外」という情報には注意
ここは、インターネット上の古い記事を見る際に注意したいポイントです。
以前は、
特定技能外国人が訪問介護などの訪問系サービスに従事することは認められていませんでした。
しかし、2025年4月21日から、一定の条件を満たした特定技能外国人については、
訪問系サービスへの従事が認められています。
対象となる外国人には、介護職員初任者研修課程等の修了や、
原則として介護事業所等で1年以上の実務経験が求められます。
さらに受入事業所側にも、
研修の実施、一定期間の同行、キャリアアップ計画の作成、ハラスメント対策、
緊急時の対応体制などが求められます。
そのため、
「訪問介護だから特定技能外国人を採用できない」
と最初から判断するのではなく、
現在の制度で受け入れ可能か確認することが重要です。
条件②
外国人本人と直接雇用すること
介護分野で特定技能外国人を受け入れる場合、
雇用形態は直接雇用に限られています。
つまり、
「人材派遣会社から特定技能の介護スタッフを派遣してもらう」
という雇用方法ではありません。
基本的な流れは、
人材を紹介してもらう
↓
施設と外国人本人が雇用契約を締結する
↓
施設の職員として勤務してもらう
という形になります。
「外国人人材サービス=人材派遣」とイメージされる方も多いため、
ここは特に間違えやすいポイントです。
介護分野では、施設側が雇用主になると覚えておきましょう。
条件③
日本人と同等以上の給与・待遇を設定すること
特定技能制度は、
「外国人だから安く雇用できる制度」ではありません。
特定技能外国人に支払う報酬は、
同じ業務に従事する日本人と同等以上であることが求められています。
また、報酬だけではなく、福利厚生施設の利用などについても外国人であることを理由とした差別的な取り扱いは認められていません。
例えば、同程度の経験や業務内容を持つ日本人職員が月給24万円なのに、
「外国人だから月給18万円」
というような設定をすることはできません。
特定技能外国人を採用するときは、
「外国人を安く採用する」のではなく、「長く一緒に働く人材を採用する」
という考え方が重要になります。
条件④ 受け入れ人数の上限を守ること
「外国人は1施設につき何人まで採用できますか?」
という質問もよくあります。
介護分野では、一律に「○人まで」と決まっているわけではありません。
特定技能1号外国人については、
事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が受け入れ人数の上限
となります。
例えば、
日本人等の常勤介護職員が5人なら、特定技能1号外国人は原則最大5人。
常勤介護職員が10人なら、原則最大10人。
常勤介護職員が20人なら、原則最大20人。
という考え方です。
法人全体ではなく、原則として事業所単位で確認することがポイントです。
すでに特定技能外国人を採用している施設の場合は、新たな採用を進める前に現在の受入人数も確認しておきましょう。
条件⑤ 外国人を支援する体制を整えること
特定技能1号外国人は、
「採用して日本で働いてもらえば終わり」
ではありません。
受入企業には、外国人が日本で安定して働き、生活できるよう支援することが求められています。
具体的には、
- 入国前の事前ガイダンス
- 空港などへの送迎
- 住居確保や生活に必要な契約の支援
- 日本で生活するためのオリエンテーション
- 行政手続きへの同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談や苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 必要な場合の転職支援
- 定期的な面談
などがあります。
出入国在留管理庁では、1号特定技能外国人に対する「義務的支援10項目」を定めています。
こうした内容を見ると、
「うちの施設だけで全部対応するのは難しい……」
と感じるかもしれません。
しかし、すべてを施設だけで対応する必要はありません。
登録支援機関へ支援を委託することも可能
特定技能1号外国人への支援は、国から登録を受けた登録支援機関へ委託することができます。
支援計画の全部を登録支援機関に委託した場合、受入機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。
外国人採用が初めての介護施設の場合、自社だけですべてを抱え込むのではなく、外部の専門機関と連携しながら受け入れ体制を作る方法も検討できます。
条件⑥ 介護分野の協議会へ加入すること
介護分野で特定技能外国人を受け入れる法人は、
「介護分野における特定技能・育成就労協議会」
の構成員になる必要があります。
そして、ここは過去の制度情報と現在の制度で大きく変わっているポイントです。
2026年9月現在は、外国人の在留資格に関する申請を地方出入国在留管理局へ行う前に協議会へ入会し、受入事業所情報が登録された入会証明書を取得する必要があります。
大まかな流れは、
① 協議会へ入会申請
↓
② 受入事業所情報を登録
↓
③ 入会証明書を取得
↓
④ 地方出入国在留管理局へ在留資格に関する申請
↓
⑤ 外国人材の受け入れ
となります。
以前は「受け入れ後4か月以内に協議会へ加入」という情報もあったため、古いWebサイトなどを参考にすると手続きの順番を間違える可能性があります。
外国人材の採用を進める際は、必ず最新情報を確認しましょう。
介護分野の条件だけでなく「受入企業」としての基準も必要
ここまで紹介した介護分野独自の条件に加えて、特定技能外国人を受け入れる企業そのものにも適切な運営が求められます。
例えば、
- 労働関係法令を適切に守っている
- 社会保険や税金などの公的義務を適切に履行している
- 外国人との雇用契約を適切に締結している
- 保証金を徴収するような契約をしていない
- 違約金などを定める不適切な契約をしていない
- 外国人を適切に支援できる体制がある
といった点です。
特別に難しい会社でなければ受け入れられない制度というわけではありません。
普段から労務管理や社会保険、税金などを適切に処理している事業者であれば、まずは自施設が介護分野の条件を満たしているか確認してみましょう。
結局、うちの施設は採用できる?7項目で最終チェック
最後に、もう一度確認してみましょう。
特定技能「介護」受け入れチェックリスト
□ 特定技能「介護」の対象施設・事業所に該当している
□ 外国人本人と直接雇用契約を結べる
□ 日本人と同等以上の給与・待遇を設定できる
□ 受け入れ人数が事業所の上限以内である
□ 労働・社会保険・税金などに関する法令を適切に守っている
□ 外国人への支援体制を自社または登録支援機関との連携によって用意できる
□ 協議会への加入など必要な手続きを行える
多くの項目にチェックが入った場合、特定技能外国人を受け入れられる可能性があります。
一方で、
「うちの事業所が対象なのか分からない」
「何人まで採用できるか分からない」
「支援体制をどう作ればいいか分からない」
という場合もあるでしょう。
その場合は、自己判断で採用を諦めるのではなく、一度専門家や外国人材の採用支援を行っている事業者へ相談することをおすすめします。
初めての外国人採用。すべてを施設だけで進める必要はありません
初めて外国人材を採用する場合、
「日本語は大丈夫?」
「職員とうまくコミュニケーションできる?」
「日本での生活は誰がサポートする?」
「採用したあと、長く働いてくれる?」
など、制度以外にもさまざまな不安があると思います。
外国人採用で大切なのは、単純に人手を確保することだけではありません。
外国人本人が安心して働ける環境を作り、施設側も安心して受け入れられる状態を作ること。
それが、長期的な人材確保につながります。
ミャンカラエージェンシーでは、ミャンマー人材の採用を検討されている介護事業者様からのご相談を受け付けています。
「まだ採用すると決めていない」
「まずは、うちの施設で受け入れられるのか知りたい」
という段階でも構いません。
まずは現在の施設状況を整理しながら、外国人材の採用が選択肢になるのか確認するところから始めてみてください。
▶ ミャンマー人介護人材について相談する
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まとめ|まずは「自施設が受け入れ可能か」を確認しよう
特定技能「介護」の外国人材を受け入れるためには、
- 対象となる施設・事業所であること
- 外国人本人と直接雇用すること
- 日本人と同等以上の給与・待遇を設定すること
- 受け入れ人数の上限を守ること
- 外国人を支援する体制を整えること
- 協議会への加入など必要な手続きを行うこと
などが重要になります。
制度だけを見ると複雑に感じますが、最初からすべてを施設だけで理解し、対応する必要はありません。
まずは、
「自分たちの施設は受け入れ対象なのか?」
を確認するところから始めてみましょう。
そして施設側の条件が分かったら、次に気になるのが、
「採用する外国人本人には、どのような条件が必要なの?」
という点ではないでしょうか。
次回は、特定技能「介護」で働くために外国人本人に求められる、日本語能力や介護技能、試験などについて詳しく解説します。
▶ 第3回|特定技能「介護」で働く外国人本人に必要な条件とは?